大谷翔平の睡眠習慣|世界最高の選手が最も大切にしていること
2026年2月22日

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メジャーリーグ史に前人未到の「50-50」を刻んだ男は、誰よりもよく眠る。
大谷翔平の睡眠時間は、1日10時間以上。日本人の平均睡眠時間が7時間22分であることを考えると、その差は歴然だ。世界最高のアスリートに「パフォーマンスの秘訣は?」と尋ねれば、過酷なトレーニングや特別な食事法が返ってくると想像するだろう。だが、大谷の答えはいつもシンプルだった。

「一番大事に考えているのは寝ること」
——めざましmediaのインタビューで、大谷はそう語っている。
この記事では、大谷翔平が実践する睡眠習慣を、本人の発言や専門家の分析をもとに紐解いていく。「ただ寝ているだけ」に見えるその裏側には、世界最高峰のパフォーマンスを支える驚くべきこだわりがあった。
「寝てる」── チームメイトが明かした大谷の素顔
2023年5月、17連戦を終えた貴重な休養日。セントルイスに遠征していた大谷のもとに、WBCで共に戦ったラーズ・ヌートバーから食事の誘いが届いた。
返ってきたメッセージは、たった一言。
「寝てる」
ヌートバーはその後、中日スポーツの取材でこう笑った。
「スーパースターなのに、本当に飾らない男。素晴らしい友人。寝るのも大好きだね」
これは単なるユーモラスなエピソードではない。MLBの過酷な162試合のシーズンを戦い抜く大谷にとって、休養日の睡眠は最優先事項なのだ。
もう一つ、印象的なエピソードがある。元エンゼルス監督のフィル・ネビンがCoCoKARAnextの取材で明かした話だ。朝11時の試合がある際、大谷はこう提案したという。
「19時に寝て、5時に起きればいい。そうしたらいつものルーティンを全部できる」
ネビンは通訳に思わず確認した。「本当に19時に寝ると言ったのか?」──大谷の睡眠へのこだわりは、監督すら驚かせるレベルだった。
「質より量」── 大谷翔平の睡眠哲学
大谷の睡眠に対する考え方は、意外なほど明快だ。
「寝れば寝るだけいい。質はその次。まずは量を確保する。どれだけ寝れたかが一番」
2023年5月、Full-Countの取材に対してこう語っている。睡眠の専門家がよく「質が大事」と語る中で、大谷のアプローチは一見すると逆張りにも見える。
だが、これには根拠がある。日本睡眠学会理事長の内村直尚氏(久留米大学学長)は、PRESIDENT Onlineの記事で大谷の睡眠スタイルをこう分析している。
「二刀流による消費カロリーの多さ、MLB遠征による時差やリズムの乱れを考慮すると、リズムと質の不利を量で補っている」
つまり、大谷は「質を高められない環境だからこそ、量で補う」という合理的な判断をしているのだ。

さらに注目したいのが、大谷が数日前から睡眠計画を立てるという習慣だ。BRUTUSの特集記事(2024年2月)によると、「いつ寝るかの準備を数日前から計画的に行う」のだという。
試合日のルーティーンも徹底している。2023年のオールスター前日会見では、こう明かした。
「ホームの時は朝ご飯で1回起きるので、9時半とか10時に起きて、朝ご飯食べてすぐ寝て。その後、起きて球場に行って、またご飯食べます」
朝食後の「二度寝」が日課。多くの人が罪悪感を覚える行為も、大谷にとっては戦略的な回復手段だ。
そして、「1日1時間増えるとしたら何に使うか」という質問に対する大谷の答えが、すべてを物語っている。
「睡眠じゃないですか。起きている時間のクオリティーが上がるので、そこはやっぱり大事」
——Seiko Watch公式チャンネルのインタビュー動画で、大谷はそう答えている。
9年間のパートナー── 西川との睡眠コンディショニング
大谷の睡眠を語る上で欠かせないのが、寝具メーカー西川との関係だ。2017年、日本ハム時代から始まったこのパートナーシップは、2025年で9年目を迎えた。
その中核となるのが、3Dボディスキャナー「N-3D body」による全身計測だ。約150万点もの測定データから、大谷の体に最適化された寝具が作られる。帰国のたびに再計測を行い、筋肉量の変化に合わせて寝具もアップデートされるという徹底ぶりだ。

BRUTUSや中日スポーツの報道によると、大谷が使用しているのは西川「エアーSX」マットレス。ハイブリッド4層構造で、点で体を支える設計が特徴だという。
枕へのこだわりも並外れている。2層構造で最大14ヶ所の高さ調整が可能なオーダーメイド枕を、1cm単位で調整する。西川の担当者・忠惠友也氏は「他の方より群を抜いて睡眠へのこだわりは高い」と評する。
興味深いのは、枕の素材も変化していること。かつては硬めの「備長炭パイプ」を選んでいたが、現在は軟らかいウレタン素材「エンジェルフロート」に移行。頭から肩まで包み込む柔らかな眠りを好むようになったという。
そして最も驚くべきは、遠征先にもポータブルマットレスを持ち運んでいること。ブリーフケースサイズに折りたためるモデルをホテルのベッドの上に敷き、どこでも同じ睡眠環境を再現する。WBCでも持参したというから、その徹底ぶりがうかがえる。
大谷自身も、2025年の西川公式インタビュー動画でこの関係の価値をこう語っている。
「睡眠の質を上げることのメリットは身体の回復だけでなくて、一日の生活リズムをコントロールできると思います。だからこそ、最適な睡眠環境を整えてくれるnishikawaさんは僕にとってすごく大切なパートナーです」
眠りを守るための「しないこと」
大谷の睡眠習慣で見落とせないのが、眠りを守るために「しないこと」を明確に決めている点だ。
シーズン中、大谷は外食を一切しない。2023年のオールスター前日会見で記者に聞かれたとき、こう答えている。
「(外食は)記憶にないですね。次の日もまた試合があると、なかなか遅く帰ってくるわけにはいかない」
さらに、記者が驚くと、こう切り返した。
「普通じゃなくないですか?毎日、外食しますか?」
お酒も飲まない。就寝時刻は22時〜22時半。元チームメイトのルーカス・ジオリートは、ポッドキャストでこう証言している。「彼はよく寝る。14時間くらい寝るんだ」──これは睡眠時間というより、大谷が休息に費やす時間の総量を物語っている。

興味深いのは、大谷の入眠方法がきわめてシンプルなことだ。
Sports Illustratedの取材によると、複雑な就寝ルーティーンは持っていない。
「眠くなったらそのまま寝る」
目覚まし時計も使わない。幼少期から自然に早寝の習慣が身についていたと、めざましmediaのインタビューで語っている。
「『寝ろ』とは言われなかったですけど、自然に9時くらいに寝るみたいな感じだった」
親から強制されたのではなく、自然と睡眠を優先する感覚が育まれていた──これは、習慣化の本質を示す重要なポイントだろう。
「幸せな寝不足」── 父親になった大谷翔平の変化
睡眠を何より大切にしてきた大谷にも、その習慣に変化が訪れた瞬間がある。2025年4月、長女の誕生だ。日テレNEWSの取材で、大谷はこう語った。
「寝不足気味でしたけど、心地の良い寝不足というか、幸せな寝不足だったので」
生活リズムは「やっぱり少し変わりました」と認めつつも、「特に苦なく球場でも動けていた」と語る大谷。試合前に病院に行って妻子に会うなど、これまでになかったルーティーンも加わった。
世界最高のアスリートが「寝不足」を受け入れる──しかもそれを「幸せ」と表現する。この言葉の中に、大谷翔平という人間の温かさが見える。完璧な習慣を貫くことだけが正解ではない。大切なもののために柔軟に変化できること、それもまた一つの強さだ。

大谷翔平の睡眠習慣から学ぶ、今日から始める3つのこと
もちろん、一般のビジネスパーソンが10時間の睡眠を確保するのは難しい。しかし、大谷のアプローチから学べることは確実にある。
1. 睡眠を「確保する」のではなく「最優先にする」
大谷が外食やお酒をやめたのは、禁欲的なストイックさからではない。睡眠を最優先にした結果、自然とそうなったのだ。「忙しいから眠れない」のではなく、「眠るために何をやめるか」──この発想の転換が、大谷の習慣術の核心だ。
まずは「今日30分早く寝る」ために、何か一つ「しないこと」を決めてみてはどうだろうか。
2. 自分の睡眠環境を見直す
大谷のように150万点のデータで寝具を最適化する必要はない。しかし、枕の高さを調整したり、寝室の温度や光を整えたりするだけでも、睡眠の質は大きく変わる。大谷が寝具の素材を硬めから柔らかめに変えたように、自分に合う環境は時間とともに変化する。定期的に見直す習慣を持つことが大切だ。
3. 睡眠を「記録」して意識を変える
大谷が数日前から睡眠計画を立てるように、睡眠を「意識的にコントロールする対象」として捉えることが重要だ。毎日の就寝時間や起床時間、睡眠の満足度を記録するだけで、自分の睡眠パターンが見えてくる。
小さな成功体験から始める習慣化入門でも紹介しているように、習慣化の第一歩は「記録すること」。睡眠の記録を続けることで、自然と睡眠を大切にする意識が芽生えてくるはずだ。
また、良質な睡眠のために朝たった10分の運動を取り入れるのも効果的だ。日中の適度な運動は、夜の睡眠の質を向上させることが研究で確認されている。

まとめ
大谷翔平の睡眠習慣を追いかけてきた。10時間睡眠、西川との9年間のパートナーシップ、外食もお酒もやらない徹底ぶり。そしてその根底にあるのは、いたってシンプルな哲学だった。
「大切にしているのは、毎日の睡眠です」
——2025年の西川キャンペーンで、大谷はそう直筆メッセージを寄せた。特別なサプリメントでもなく、秘密のトレーニングメソッドでもない。世界最高のアスリートが最も大切にしているのは、誰もが毎日行っている「眠る」という行為だった。
その事実は、私たちに大きな希望を与えてくれる。睡眠は、今日から誰でも改善できるのだから。
睡眠習慣を、ENJOY ROUTINEで始めよう
この記事で紹介した睡眠習慣を自分の生活に取り入れるなら、毎日の記録が効果的だ。ENJOY ROUTINEなら、「22時に寝る」「7時間以上眠る」といった睡眠習慣を簡単にトラッキングできる。
GitHub風のコントリビューションカレンダーで継続記録が一目でわかるから、毎日の睡眠を「当たり前の習慣」として定着させることができる。ストリークカウンターで連続達成日数を記録すれば、モチベーションも維持しやすい。
まずは「今日30分早く寝る」という小さな一歩から。この記事で紹介した睡眠哲学を、あなたの日常に取り入れてみてはどうだろうか。
参考情報
本記事は、以下のメディア・出版物で公開されている大谷翔平選手のインタビューや報道をもとに構成しています。
- BRUTUS「偉業を支える天才の眠り方とは?大谷翔平の睡眠術」(2024年2月9日)
- Number Web / 石田雄太 著「野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平ロングインタビュー」文藝春秋(2024年)
- Full-Count「大谷翔平インタビュー」(2023年5月4日)
- 中日スポーツ「MLBオールスター前日会見」(2023年7月11日)
- 中日スポーツ「ヌートバー取材」(2023年5月2日)
- PRESIDENT Online「日本睡眠学会理事長・内村直尚氏による分析」(2025年5月9日)
- 西川プレスリリース「大谷翔平選手 睡眠コンディショニングサポート」(2022年3月、2025年2月)
- めざましmedia「西川 GOOD SLEEP, BIG DREAM キャンペーン インタビュー」
- Sports Illustrated Shohei Ohtani Sleep Habits(2024年3月15日)
- CoCoKARAnext「フィル・ネビン元監督インタビュー」
- Seiko Watch公式YouTubeチャンネル「大谷翔平インタビュー」
- 日テレNEWS NNN「大谷翔平 父親になっての変化」(2025年4月30日)